実験で明らかになった効果的な頭の使い方①
頭を使うって何?
学校や職場で、「頭を使え」「頭を使うことが大事」など言われることがありませんか?
正直、意味が分かりませんよね。頭突きでもしてやろうか!と思ったりします。命令はするくせに、頭の使い方なんて教えてくれる人はいないわけです。
そこで、今回は「頭を使う状態」にしてくれる方法「想起学習」をご紹介します。
想起学習って何?
想起学習とは、思い出して身に付けていく勉強方法です。私たちの脳は、勉強してから1日経つと、学習したことの約70%は忘れてしまうと言われています。(エビングハウスの忘却曲線)すぐに忘れてしまうため、教科書を読むだけでは身に付きません。
そこで、必要だと考えられたのは、「勉強したことをどれだけ忘れないようにするか?」です。勉強したことを忘れないようにするには、脳に記憶を定着させる必要があります。
〇〇〇をするだけで、成績が10点以上も上がった実験
2007年に行われた実験で、中学生を対象に科学の授業を行いました。その際、クイズを出した授業とクイズを出さなかった授業に範囲を分けてテストを実施しました。
結果はクイズを出さなかった範囲の平均点は79点だったのに対し、クイズを出した範囲の平均点は92点でした。クイズを行うことにより、平均点が13点も増加したわけですね。びっくりです。
なぜ、クイズだけで点数を上げることができたのでしょうか?
脳にある神経細胞「ニューロン」をつなぐ、シナプスの働きという説
私たちは生まれたときから、脳に神経細胞を持ちます。その神経細胞と神経細胞のつなぐ役割を担うのがシナプスです。シナプスに刺激を与えれば、与えるほどシナプスの一部「軸索」が太くなり、強化されていく説が提唱されています。これが記憶が長持ちする仕組みのようです。
クイズを使った実験を当てはめると、クイズの回答を考えることにより、繰り返し授業内容が思い起こされ、シナプスが刺激されたと考えられます。こうして何度も思い出したことにより、忘れることを防ぐことができたわけです。
ただし、脳の仕組みに関しては、未だに判明していないことも多いため、これからに期待です。
以上が、実験で明らかになった効果的な頭の使い方①でした。
この仕組みを当てはめれば、どれでも効果的な学習方法になるのでは?と本書を読みながら考えていました。自分の疑問に答えるべく、次回は、想起学習の効果的な方法や落とし穴をご紹介したいと思います。
参考図書:「使える脳の鍛え方」
参考文献:
http://pdf.poojaagarwal.com/Roediger_Agarwal_etal_2011_JEPA.pdf