人を傷つけずにいられない人の正体<職場編>
職場のモラルハラスメントの特徴
基本的にモラルハラスメントのやり方は概要で述べた部分と共通しているので、割愛します。職場編では、職場特有のモラルハラスメントについて、解説していきます。
①権力の乱用
②セクシャルハラスメント
③企業は利益のために、モラルハラスメントを見過ごしたい
権力の乱用
権力は、人を合法的に従わせることのできる麻薬のようなものですね。しかし、権力がないと1つの問題で揉めた時に糸口がないことも事実です。企業を維持するために必要なものでもあります。
権力下で行われるハラスメントとして、嫌がらせ、悪口、当人の能力不足、不当解雇などがあります。また、教育として暴力や罵声を浴びせることもあります。
どういった人物が狙われるの?
単純ですが、権力に反抗を示した人です。意外なことに仕事ができる・できないは、あまり関係ないようです。権力を用いて、ターゲットが働くことの出来ない状態まで追い込もうとします。
なんで、いじめるの?
「社長に立てつくとは何事だ!」どこかのドラマで聞いたことのありそうなセリフですね。しかし、個人的には違和感を感じます。「従業員でも意見を言う権利があるのに、なんでダメなんだろう?」
答えは簡単でした。権力を持っている人は否定されることを人一倍恐れているからです。自分の能力の欠如を隠すために、それを部下のせいにしているだけです。加えて、権力を持っていることで、自分の楽なポジションを守ろうとします。ポジションを守るためには、責任の矛先が自分に向かわないように、立ち回ろうとします。
また、部下を支配することにより、自己顕示欲を満たす一面もあります。喝を入れて、仕事している気になっているだけです。実際は、部下に多大なストレスを与えているだけですが…
セクシャルハラスメント
本書には、具体的な記載が少なかったので、行動例をあげます。
・女性/男性だという理由で性差別的な発言、態度をする。
・相手を脅して、性的な行為をしようとする。
・相手の望まない性的な関心
・性的なことを強要する。
・相手の体を触る、言葉にする。
以上がセクシャルハラスメントに該当します。
アメリカの調査では、女子学生の25~30%が教授から性差別的な発言、意味ありげな視線、身体的接触、その場にふさわしくない性的な指摘を受けたことがあるようです。「従わなければ、解雇するぞ!」と権力を濫用する例もあるので、その場合はすぐに訴えましょう。
企業は利益のために、モラルハラスメントを見過ごしたい
激しい競争を勝ち抜くためには、叱咤激励が必要だと思っている方がいるのではないでしょうか?相手を応援しているように見せかけて、ただ叱責しているだけではないでしょうか?
ここが問題点なのですが、激励と叱責の違いが第三者から見るとわかりにくいのです。はたから見ると、暴力などの直接的な手段を用いてない以上、師弟の関係や「厳しいがあの人のやり方だから…」とハラスメントは見過ごされます。
さらに、そのやり方でたまたま、業績が良くなることもあります。その時に、上司のやり方は正しかったんだと間違った認識を生みます。
企業側としては、下手に触れて面倒ごとにしたくないし、業績をあげるためならば、たかが従業員1人が精神的に壊れても見過ごそうということになります。また、当たり前なのですが、周囲の人も巻き込まれたくないため見て見ぬふりをします。
<自分ができないからダメだと思ってしまう方へ>
ここには、本書に書かれていないことを書きます。私自身も会社で個人の能力のせいにされ、不当な扱いを受けたことがあります。そんな同じ目に遭っている方に向けた隠しメッセージです。
あなたは仕事ができないことを自分のせいだと思っているかもしれません。しかし、良く考えてみてください。本当にあなたのせいでしょうか?
〈公私混同している人の場合〉
適切な指示を受け、仕事が完了しなかった場合は自分で反省し改善することができます。
しかし、適切な指示がされなかった場合は、上司が説明責任を果たしていないだけです。特によくある例が、「これは~のつもりだったんだ」、「このぐらい、説明しなくてもわかるだろう」といった説明しなかったことへの言い訳です。
こういう人の場合は、自分と相手を混同しているのです。自身の常識が相手にも伝わると思い込んでおり、認知能力が欠如しています。しっかりと「それでは、伝わらない」と伝えましょう。
〈悪意がある人の場合〉
何を言っても、無駄です。諦めてください。通常、仕事を円滑に行うために上司が部下に指示を与えます。しかし、悪意がある場合、相手に責任を擦り付けることが目的となっています。考えている前提条件が違うため、関係改善を図っても埒があかないでしょう。特徴を挙げると、過剰なレッテル貼り、嫌味、悪口を平気でいいます。
本人と話すことを諦めて、上長に報告し改善を求めましょう。正常な会社ならば、対処するでしょう。それでも、効果がないならば親、労働組合に相談するなどしましょう。一人で抱え込むと、ドツボに嵌るので、それだけは避けてください。
また、真っ向から向き合っても無駄なので、必ず第三者の目にさらされるような状態にしておきましょう。何でもいいので、自分を守る手段を身に付けてください。それでもダメならば、会社をやめることを視野にいれても大丈夫です。
以上がモラルハラスメント<職場編>でした。次回は<家族編>をお伝えする予定です。